孔雀羽根文六角銀胎花瓶

大正/林 谷五郎

孔雀羽根文六角銀胎花瓶

この七宝は、地色の青色の中に孔雀の羽根を黄色で表現しており、その色の組み合わせに目を奪われます。この二色の透明釉薬が素地に使われている銀の表面にのることで鮮やかな色が発色しています。
また、この花瓶の口縁部には、一見うろこが重なっているように見える文様がありますが、これは、孔雀が羽根を開いた形をかたどったもので、ひとつひとつの細かい模様から職人の丁寧な仕事ぶりがうかがえます。
この花瓶の作者、林谷五郎は七宝町遠島の人で、大正から昭和初期にかけて様々な名品を生み出しました。

■ここがみどころ

花鳥の様子などを描くことが多い七宝のデザインの中で、孔雀の羽根の形をイメージして鮮やかな青と黄を配色したデザインは当時かなり画期的なものだったと思われます。植線、研磨などの仕事にも苦労がともなう六角形の素地の上に表現された世界は現代の作品といっても通用するものといえるでしょう。